【完】あいつが私に恋してる!?





「は、ははははっ本がね、

 突然読みたくなってね」




「そうー愛莉ったら本が読みたいって

 教室で騒ぐから、もう困って困って」







優良と桜ちゃんを前にして

私と竜也が苦しい嘘をつき始める。




でも2人ともっていうか

優良は苦笑い。





「あ、愛莉がー?嘘だろっ!?

 俺、そんな愛莉知らねーもん!」




「優良が知らない私がいて

 何がおかしいのよ!!」




「おかしいだろ!!俺より愛莉のこと

 知ってるやつなんか、いねーし!」




「竜也がいますー!!」




「井上なんか俺の次の次の次くらい!」





「ちょ、2人とも」






あ。




しまった。





またいつもの調子で

お見せ苦しい喧嘩を…





でもそんな私達を見て桜ちゃんは

怒るどころか笑い始めた。




「ふふふっ。楽しそう。

 いつか私も優良くんとこんな風に

 なれたらいいな」




普通の優良ファンなら

機嫌が悪くなるのに桜ちゃんは

楽しそう。





それにごめんって笑う優良。




なんだか2人とても似合ってる。






でもさっきっていうか

前から気になるのは






桜ちゃんの顔の湿布。





前から貼ってある頬の湿布。





もしかしたら優良と会ってるのは

あれが原因?だったりして。






「あ、前からきになってたんだけど
 
 愛莉さんと井上くんって

 付き合ってるんですか?」




「え!ええええ!」




私と竜也が…!!?
 


でもいつもこの質問されたら

優良の奴が。




…ってあれ?優良ってば

何も言ってこない。



…優良?





「ふふっ。よく聞かれるけど

 愛莉と俺は親友ってとこだよ」



し、親友!!

なんて良い響き!!



私が竜也の発言にどきどき

してると桜ちゃんは微笑んだ。



「へー!親友なんですか!

 付き合っちゃえばいいのに」




た、竜也と付き合うなんて

全国の女子を敵にまわすのと

おんなじだよ!!なんて!!




私が一人ニヤニヤしてると

竜也が寂しそうに笑った。



「だめだよ。

 愛莉には優良がいるから」



「え!なんで!!?優良!?」





まさか竜也そんな風に思ってたなんて!






「えー?!そうなの?優良くん」




「え、え?ちがうよ」




「そうなんだぁ!」





なんか変な優良。


それに気づいたように

竜也も小首を傾げていた。


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