ずっと隣で・・・
思いっきり目があってしまい
咄嗟に目を逸らした・・・
でも彼はじっと見ているみたい。
視線を感じるから。

「ごめんね・・・」
「ん?」
「本当はさっきの新幹線に乗るはずだったんでしょ?
 私のせいでごめんなさい。・・・・でももう、大丈夫だから・・次の新幹線に乗って」
「千鶴はどうすんだよ」
久しぶりに彼から名前を呼ばれ、ドキッとした。
「わ・・私?・・・私はもうちょっとだけここにいようかな・・・
 気持ちの整理したいし・・・」
 だが彼からの次の言葉は出てこなかった。
気になってちらっと横にいる彼を見ると、再び目が合う。
「バーカ。死にそうな顔してる千鶴をおいていけるか・・・」

 バーカ

付き合ってた頃よく言われたっけ。
でも彼の言うバーカは決して相手を馬鹿にしたものではない。
4年ぶりのバーカはあの頃と同じでやさしかった
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