ずっと隣で・・・
「出来ちゃった・・・6週目だって」
失敗しちゃったテヘヘっておちゃらけて言っているが
おちゃらけてる場合じゃない。
「えええ?」
いきなり直球投げてきたもんだから
自分でもびっくりする様な声を出してしまい、美鈴が慌てて
私の口を手で塞ごうとした。
「ごめん・・・声でかすぎたね・・おめでとう!だよね」
その途端美鈴の顔は複雑そうに俯いた。

美鈴の彼は私もよく知っている人だった。
営業3課の福山課長でバツイチだ。
美鈴とはもちろん離婚後に付き合い始めたし
子供もいない。
美鈴と付き合っていることは極僅かな人間しか知らない。
間違いなければお腹の子の父親は福山課長だ。

「課長には話したの?」
美鈴は首を横に振った。
「なんで?」
「今大きなプロジェクトを抱えて凄く忙しいの」
「プロジェクト?それ関係ないじゃん。赤ちゃんだよ。命と仕事は別もんじゃん」
「わかってる!」
急に声を荒げる美鈴がはっとしてガクッと肩を落としながら
小さな声でゴメンといった。
「・・・・課長になんて言われるのか怖い?」
美鈴は黙って頷いた。

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