ずっと隣で・・・
弦の勤める会社は日本と北欧の木のおもちゃの卸会社だ
元々は小さな会社だった。北欧の木のおもちゃってほとんど
目にする事はなかった。
それがネットショップを始めた所
口コミで広がり、噂を聞きつけた小売店やデパートからの注文が来るように
なって
京都の小さな会社だけでは手狭と言うことで名古屋に支店を出すことになった。

その責任者が弦だ。
この若さで?!と思うかもしれないが
実際、社員は10名程、あとはほとんどがパートやアルバイトだそうだ。
社長は元々職人で、自ら工房で手作りの木のおもちゃを作ってる。
弦がこの会社に就職したのはその社長の作る木のおもちゃに惚れこんでしまい
求人なんか取ってないのにも関わらず何度も通い頼み込み、その熱意に負けた?
社長が弦を受け入れた。
それから社長の作る木のおもちゃと並行して北欧の木のおもちゃも取り入れて
会社は大きくなった。

10名の社員が全国のデパートや小売りの営業をしており
弦は今まで近畿地方の担当だったが、今回の名古屋支店を任されるにあたり
担当が中部地方に変わったことで今は引き継ぎと、あいさつ回り。
それに名古屋支店の全てを任されている事になるので
弦の仕事はかなりハードだった。
きっと帰って寝るだけの生活を送っていたのだろう。
だからか正直部屋は綺麗とは言えなかった。

私は弦の部屋をぐるりと見渡した。
「今日は・・・大掃除!」
洗濯機のスイッチをオンにして
弦から聞いていた近所のスーパーで買い物をし、隣接するドラッグストアで
掃除に必要な道具を買い込むと
弦が帰ってくるまで自分の部屋以上に綺麗に掃除をした。
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