ずっと隣で・・・
実はこの家に来るのは2回目でしかも初めて来たのが夜で次の日には
すぐ帰ってしまったからこうやって弦の部屋をマジマジと見るのが
今日が初めてかもしれない。
弦の家は2LDKの賃貸マンションだ。
リビングや寝室には入ったけど・・・
もう1つの部屋は入ってない。
無断で入るのはどうかと思い弦に掃除したいから入ってもいいかと
メールを入れたらOKしてくれた。

初めて入った部屋には
弦の顔からは想像つかないほど可愛いかった。
カラフルな北欧の木のおもちゃが棚に陳列されており
天井には鳥や気球のモビール
時計も木でできた子供が喜びそうな掛け時計
ここだけが別世界の様だった。
弦がこの仕事をどれだけ好きなのかが
この部屋に入っただけでわかった。
「かわいい・・・・」

おもちゃを一つ一つ見ていると棚の端に小さな木のフォトフレームがあった。
なんだか形がいびつで売り物と言うよりは手作りっぽい感じがした。
そして、そのフレームに収まっている写真を見て私はびっくりした。

そこに写っていたのは学生時代の私と弦だった。
「うそ・・・弦・・・これずっと飾ってくれていたの?・・・」
思わず呟いた自分の言葉に胸の奥がぎゅっとなった。
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