ずっと隣で・・・
「ただいまー」
弦が帰って来た。
「おかえりー」
私は急いで玄関で靴を脱いでいる弦に駆け寄る。
パッと目が合うと何だか弦が照れくさそうにしている
「どうしたの?」

「・・なんかこういうのいいなーって思って」
弦は壁を見ながらいうので
「壁に向って言われもてもちっとも嬉しくないよ。
言うならちゃんと・・・・こっちを・・向いて言いましょう」
と弦の頬を両手で押さえて自分の方を向かせた。
そして・・・少し背伸びをしてチュッと軽いキスをした。
その時の弦のキョトンとした表情がおかしくって思わず噴いてしまった。
だが、それがどうやら面白くなかったようで
弦は私の両手首を掴むと
「不意打ちはよくないな~。どうせやるなら・・・さ…こうやるんだよ」
とさっきとは比べ物にならないくらい
濃厚なキスをお見舞いされた。
私はそのキスに完全にのぼせ、完敗した。

それから弦がお風呂に入っている間
やりかけの夕飯作りを再開した。

風呂から出た頃には夕飯は出来上がり
テーブルの上には出来上がった料理が並んだ。
それを見て弦がまたうれしそうな顔するのが私はうれしかった。
声を合わせていただきますをすると
弦は美味しそうにそれらを食べる。
美味しいかどうかは弦の顔を見ていればわかるから
敢えて聞かなかった。
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