ずっと隣で・・・

忘れられない想い・・・side弦

千鶴が、俺の部屋を掃除していいかとメールしてきた時
正直迷った。
俺の部屋にはあの時の思い出があの時のまま残っていたからだ。
普通に考えれば過去を引きずりまくってる男とか
どん引きするだろうし
一歩間違えたらかなりヤバいと思う。

千鶴は俺たちの写真を処分しただろうし
実際、別れた時に千鶴の部屋にあったものは俺の私物が
手渡しでもいいのもを敢えて宅配便で送ってきたし・・・・
でもあの時はマジへこんだよ。
何が何でも別れない・・・と言えなかった自分にも腹が立った。
だからこうやって俺の横で無防備な姿で眠っているなんてのは
奇跡に近い。
言い方は悪いけど前の男が京都に住んでいてくれて
ありがとうと礼を言いたいくらいだった。

本当の事を言えば、今の会社に就職してからの俺は
千鶴に再び会いたいがために頑張って来た様なものだった。
もちろん頑張って名古屋に戻ったからといって再び付き合えるなんて
確証なんか全くなかったのに・・・

今の会社は俺が憧れていた会社だった。
あの頃はまだ工房に毛の生えたような小さな会社だったが
この先からなず需要があると確信していた。
だからいつかこの会社を大きくして名古屋に支店を出す。
それが俺の夢だった。
俺の思惑通り、今の少子化の影響か子供一人にかけるお金が増えて
おもちゃも高価なものが売れる様になった。
特に北欧のおもちゃは子供もさることながら
大人にも受ける物が多かった。
インテリアの一部になったりね・・・
そのおかげで会社は急成長。
今では取引先がデパートの様な大手になるほど成長した。
だから俺は何とか名古屋に支店を出してもらえないかと
社長に掛けあった。そして名古屋支店の話が本決まりになった1カ月後
俺は千鶴と再会した。

あと・・・2カ月で名古屋支店がオープンする。
その時はちゃんとプロポーズするからな・・・・
俺は眠っている千鶴の肩にチュッとキスをすると
目を閉じた。
< 124 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop