ずっと隣で・・・
「凄く細い道だね」
「まあな。この辺は古い建物も結構あるしね・・・・あっ!あった。あの家だ」
弦の指を指した家は普通の一軒家だった。
決して新しい家ではないけれどどことなく温かみを感じる家だった。
「ねえ~ここ・・一人で住んでんの?」
弦は首を横に振った。
「今は一人だけど、前は須田さんと住んでたんだよ。最初はさ、江里子さんの方が出て行ったんだけど
須田さんが自分が出て行くから江里子さんは戻れって言ってね」
納得できた。
「え?!じゃあ・・・須田さんは今どこに住んでんの?」
「会社」
あっ・・・そうなんだ・・・
「じゃあ・・・押すよ。ってか最初は弦が話してよ。私じゃ~セールスかなんか
と間違えられそうだからさ・・・」
渋々返事をすると弦はチャイムを鳴らした。
インターフォンから女の人の声が聞こえた。
「ご無沙汰してます。水野です」
声の主はちょっと待っててと声を弾ませて玄関を開けた。
「弦君!」
江里子さんは弦に抱きついてきた。
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