ずっと隣で・・・
「でもどうしたの?急に、前もって言ってくれたらちゃんと出来たのに」
そう言って江里子さんは私たちにコーヒーを出してくれた。
ゆっくりと近況報告といきたいところだが
正直時間がない・・・私はいきなり本題に入った。
「あの・・・失礼を覚悟で言います。須田さん、まだ江里子さんの事
愛してます。須田さんの元に帰ってあげてくれませんか?」
「え?な・・何いってんの?・・・ちょ・・ちょっと弦君、あなた彼女に
何を話したのよ。」
動揺を隠しきれない表情で弦をみた。
だが弦は首を横に振った。
「俺は何も話してない・・というか千鶴が気付いた後で補足程度の説明はしました。
だけど俺からは何も言ってません」
江里子さんは下唇をぐっと噛んだ。
「江里子さん・・・実は、私たちの新居を今、
須田さんがリフォームしてくれてるんですよ」
「え?佑介がそんな事を?」
「はい。仕事そっちのけで、私は休みの日に手伝うんですが、
もうアシスタントみたいになっちゃって・・・
昨日、一緒に作業している時に須田さんに何で彼女がいないのかを
聞いちゃったんです。そしたら・・・
『僕が好きになる人はみんな僕の前からいなくなるんだよね。
何とも理不尽な話だよ。だから当分僕の恋人は僕の作る作品だけ・・・』
って言ったんです。
その目がとても寂しそうで、何かあるって思ったので弦に聞いたんです。」
江里子さんは下を向いたまま沈黙が続いた。

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