ずっと隣で・・・
「佑介の作るものはやっぱ素敵だね」
弦の家を飾る作りかけの棚をなでながら江里子は微笑んだ。
「・・・それだけかよ」
なんだか無性に抱きしめたくなったが視線を逸らしながら
その衝動を抑えた。
「え?」
「だから・・・作るものだけかよ」
俺は卑怯かも知れない
「フフッ」
「な・・何がおかしいんだよ」
自分から今の気持ちを素直に言えなくて
江里子に言わせようとしている・・・・
そんな俺の事を江里子はきっとわかっているのだろう。
「やっぱり…佑介は・・佑介だ」
「・・・・・」
「やっぱり・・・佑介じゃないと私ダメみたい」
ほら・・やっぱり俺は卑怯だ
こんな大事なことを彼女に言わせてしまった。
「江里子・・・俺もー」
お前以外誰も好きになれない・・そう言おうとしたが・・・
「あの家独りじゃ・・・広すぎるんだもん。寂しいんだもん」
江里子の目から流れた涙をみて俺は思った。

あー俺の負けだ。
気付けば俺は江里子を抱きしめていた。
だけど言われっぱなしじゃ伝わらない・・・

「俺も・・・江里子以外誰も好きになれない・・・・愛してる
もう俺から離れるな」


あ~~あ・・・あの二人に借りを作ったのか?
いやいや・・・この家ほとんど俺が作ってるから
貸し借りはなし・・・だな。

これからは意地を張らずにちゃんと向き合おう。
これからのために・・・
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