ずっと隣で・・・
私はどうしたいんだろう。
確かに式を挙げることだけが結婚ではない。
世の中には式を挙げずに籍だけ入れた人はたくさんいる。
式を挙げたから幸せになれるというものではなく
江里子さんの言うとおり気持ちも問題だ。
でも結婚式って人生でその日だけは主役になれる唯一の日でもある。
ウエディングドレスを着てバージンロードを歩く自分を想像すると
一度は式を挙げてみたいと思うのも女・・・いや乙女心というやつで・・・
だけど実際どうなんだろう。
特に自分にはこだわりはない。


私は・・・・どうしたいんだろう。

弦も何か考えている様だったが何となく聞けなかった。

すると江里子さんはバッグの中から1枚の封筒を取りだし
私たちに差し出した。
「何ですか?」
弦が首をかしげながら受け取った。
「見ればわかるって」
江里子さんはにやりと笑った。
弦は受け取った封筒を恐る恐る出し、そして一瞬固まった。
「ええええ!こ・・これって」
「私からのプレゼント。これって一応全国共通じゃない?
でも地元の市役所でもらった方が安全かな~~って思って
今日、区役所に行ってもらって来たの。間違えてもいい様に2枚ね。」
それは婚姻届だった。
しかも証人の欄に江里子さんの名前が既に書いてあった。
「いい?これもタイミングなのよ。なんか2人を見てると
なんかずるずると全て延ばし延ばしになって1年後もこのままだったって事に
なりかねないのよね。これを持っていれば少しは考えるかなって
思って・・・だから・・・2人でよーく考えて。ちなみに証人はもう一人
必要だからね」
江里子さんの横で須田さんがうちの嫁が暴走してごめんね。
と言いたげに手を合わせ頭を何度も下げていた。

その日、須田さんと江里子さんは駅の近くのホテルに宿泊するらしく
11時ごろ帰った。
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