ずっと隣で・・・
弦は私の隣のイスに座ると前かがみの姿勢で私を見上げた。
「千鶴・・・」
「なあに・・」
「もし赤ちゃんが出来ていて・・・千鶴の体調が安定期にはいったらさ・・・
 2人で旅行に行こう?」
「旅行?」
「そう・・・こうやって二人だけで旅行なんて・・子供が出来たら
そうないだろ?・・・・お前を独り占め出来るのも俺からしたらあと少し・・・
2人だけの時間と・・思いで作りたいからさ・・・」

赤ちゃんが産まれたらどうなるかなんて考えてなかった。
でもよくよく考えてみれば子供を育てることにいっぱいで
今までの様に弦のフォローが出来るか不安だ。
そう思うと2人だけの時間って凄く貴重なんだと感じた。
それと同時に今度2人きりになるのは子供が独り立ちした時

だったら2人だけの時間を大切にしたい。
「うん。行こう・・・2人だけの思い出をたくさん作って
 この子を2人で迎え入れなくっちゃね。」
ドレスのお腹の部分に手を当てお腹の子に語りかけた。
弦はその手に自分の手を重ねた。
「おい・・・君が産まれるまで奥さんは僕の物なんだからね」
念押しする様ないい方に笑みがこぼれた。
< 203 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop