ずっと隣で・・・

懐かしさの真意って・・・

結局、私は弦の寝室を借りることになった。
まさかこのボストンバッグの中身をここで使うとは…

「私・・・なにやってるんだろう。」

元彼のマンションでお風呂借りて、パジャマを着て
元彼が毎晩使ってるベッドで寝るなんて・・・
弦の事だから気を利かせてくれたのだと思うけど
私はソファーの方がよかったよ。


ベッドに横になった。
仰向けで寝るのが嫌いで、いつも横を向いたり、時にはうつ伏せで寝る。
枕を汚したくなかったからバッグの中の大きめのタオルを枕に掛けて
横向きに寝る。

「あっ・・・・」
タオル越しから弦の匂いがした。

4年前まで私の中で一番だった彼・・・いや、元彼弦の匂いに
あの幸せだった頃の思い出がよみがえる様だった。
匂いフェチじゃないけど
私は弦の匂いが好きだった。
特別な匂いがする訳ではない。
ただ弦に抱きしめられるって思えて・・・
あの時は凄く幸せだった。


い・・いや、ちょっと私ったら・・・一体何を思いだしてるの?
本来なら今日は3年間付き合った英斗の事を思い出すのが
普通じゃないの?
結婚したいとまで思った男なのに
弦といると英斗の事を思い出す事はなかった。

ダメ!
ダメダメ私・・・
明日・・・帰ろう…じゃなきゃ・・・私・・
それ以上の言葉を胸の奥にしまいこみ私は眠りに着いた。

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