ずっと隣で・・・
「もしもし・・・」
『あ・・俺だけど・・・』
きっと心配して電話をくれたのだろう。
何も言わないところは相変わらず。
不器用と言うか・・・
「ありがとう・・・」
『俺何も言ってないけど?』
「何も言わなくてもわかるよ。どうせ、私が仕事も行かずに落ち込んでるんじゃないかって
・・・そう思ってたんでしょ?」
『・・・・』
図星か・・・
「ちゃんと仕事したよ。」
『そっか・・・・』

2人の間に沈黙が流れる。
このままじゃあね。といって電話を切ることだって出来る。
でもしなかった。いや、出来なかった。

「あの」
『あのさ』
2人の声が重なった。

「あ・・・弦からでいいよ・・なに?」
『・・・また・・・電話してもいいか?』
「え?」
『あーー!だから~お前が一人で寂しいかなーって思ってさ・・・
嫌ならいいんだ。別に・・・お前がいいなら・・・』
本当に変わってないな・・・
「じゃあ・・・お願い」
『え?』
「急に一人になったから話し相手が欲しかったのよ。」
『何だよその理由は、俺は一体お前のなんだよ』

私と弦の会話がまた途切れた。
・・・弦は私の何?
嫌いで別れた訳ではない・・・元彼
でも何だかその言葉を口には出せなかった。

「友達・・・でしょ・・・」

それはとても曖昧な言葉だった。
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