ずっと隣で・・・
マスターからの質問攻撃からやっと解放された私たちが
席につくと頼んでもいないのに生ビールが2つ置かれた。
「これ・・・」
「これはマスターからのおごり。さっきはごめんなさいね。
席にも案内せずに質問ばかりで・・・これはそのお詫び」
そう言って謝ってきたのはマスターの奥さんだった。
「そんな・・・」
「いいのよ。マスターったらきっとあなたたちがお似合いのカップルに見えたのよ。
本当にごめんなさい・・・・じゃ・・注文が決まったら声かけてくださいね」
私は奥さんがカウンターに戻るのを目で追ってしまった。
そうでもしないと正直どうしたらいいのかわからなかった。
彼女だの、お似合いのカップルだの・・・
全て過去の事なんだから・・・・
複雑な気持ちの私を知ってか知らないか弦はジョッキを持ち上げた
「とりあえず…乾杯しようか・・・」
そう言われ、私も泡の少なくなったビールのジョッキを持ち上げ乾杯した。

一体何に乾杯?

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