ずっと隣で・・・
「・・・そう・・だったんだ・・・」
私はそれ以上何も言えず、
テーブルの下で握っていたハンドタオルを強く握りしめた。

「・・・ごめん」
「え?」急に弦が謝るので顔を上げると・・・
「こんな話迷惑だったよな・・・今さら・・」
私はとっさに首を横に振った。
「謝るのは私の方だよ。ごめん・・・でも・・・そんなに味にていたかな?」
弦は頬杖をつくとあの頃を懐かしむようにメニューのナポリタンの文字を指した。
「本当に味が似ていたかってって言われると今は自信はないけど
お前の作ってくれるナポリタンが好きだったから
・・・寂しかったんだよな…一人が・・・」
自嘲気味に笑う弦の顔を見た。
「私だって・・・・」
勝手に声が出ていた。
「え?」
「ううん。なんでもない。そっか~・・・」
慌てて否定するも本当は私も同じ思いだったと言いたかった。
だけどそんな過去を今ほじくりかえしたところで何になるのだろう。
そう思うと何も言えなかった。
私たちはもう過去なんだから・・・
弦とは友達。
それに弦は京都に住んでるじゃない。
私ったら何バカなこと考えてるのよ。
このままの関係が一番いいんじゃない。
だって私たちは友達なんだから・・・
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