ずっと隣で・・・
それは4年前に別れた恋人・・・千鶴だった。

だが千鶴は俺には全く気付いていなようだった。
きっと涙で前が良く見えてないんだ。

俺はとにかく歩いた。
何も考えないように・・・とにかく千鶴の泣き顔が誰にも
見られなくても済む場所に・・・

気がつけばホームのかなり端まで歩いていた。

「ここでいっか・・・」
そう口にだしてみたものの
正直俺の心臓は尋常ではないほどドキドキしていた。

そりゃそうだ。
別れてもずっと俺の心の中には千鶴がいたんだ。
女々しいと思われるかもしれない。
それでも俺には千鶴しかいなかった。

嫌いで別れたんじゃない。

俺は千鶴をベンチに一人残したまま席を外した。
少し離れた自販機にもたれかかると目の前には
駅名「きょうと」と書かれた看板が見えた。

遠恋はできない。
だから別れを決めた千鶴を
あの頃の俺は引き止めることが出来なかった。
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