ずっと隣で・・・
「英斗だよね・・・」
弦と美鈴が見守る中、私は英斗と話をはじめた。
「何で、帰ってこないんだ？どこにいる？俺は話をしたいだけなのに・・・」
怒ったような声に緊張が走る。
「じゃあ・・・話をしましょう。でも・・・家はいや」
「なんで？」
「嫌なの。それにもう私たちは別れているんだから
人の家に勝手に上がるのもやめてほしいの」
「俺はお前と別れたつもりはない」
「だったらちゃんと話をしましょう。外で・・・」
英斗とのこの短い会話ですら心が折れてしまいそうになった。
話は平行線・・・これでうまくいくのか・・・
普通に考えてみたら・・・別れた男が家にいるって
ストーカー行為と捉えてもおかしくない。
これ以上好きだった人を嫌いになりたくない。
「お願い・・・話をするならここへ来てほしい」
そういって店の名前と場所を英斗に知らせ、そのまま電話を切った。
< 93 / 204 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop