ずっと隣で・・・
「千鶴・・・大丈夫?」
「うん・・・大丈夫」
弦は心配そうに電話の内容を聞いてきた。
「やっぱり、別れたつもりはないって言われた。」
美鈴は頬杖をつくと大きな溜息をついた。
「あ~~なんなのかな~?往生際が悪いというか・・・・
会わないって時点で勘づけよって話よ。
 これじゃ~ストーカーと変わんないよ・・・で?来るって?」
「わからない・・・お願いはしたけどね・・・」

こんなことに2人を巻き込んでしまって申し訳ない気持ちだった。
でもこの2人がいなかったらもっと大変なことになっていたと思うと
一緒にいてくれることに感謝した。

でもなかなか平常心でいられず何度も溜息をつく。
そんな私の手を弦がそっと握ってくれた。


それからどのくらい経っただろう。
美鈴の表情がパッと変わった。
私を見て、来たよと教えてくれた。
私は席を立つと片手を肩の辺まであげた。
英斗には弦や美鈴の事は何も話していなかった。
てっきり2人きりだと思った英斗は
笑顔で私の席までやって来たが、
その笑顔は私の席の前で消えた。

< 94 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop