ずっと隣で・・・
「弦・・・・ありがとう」
私はテーブルで頭がつくくらい頭を下げた。
「お礼は後でたっぷりしてもらうとして・・・とりあえず帰ろう」
「え?!」
慌てて顔を上げるとニヤッと笑った弦と目がばっちり合った。

…お礼って・・なに?

それから地下鉄に乗って2日ぶりに自宅に戻った。
部屋の中には空のコンビニ弁当と缶ビールが2本が
ごみ箱に無造作に捨ててあっただけで
特に変わった様子はなかったが冷蔵庫を開けると中に
私の好きなケーキ屋の箱が入ってた。
「英斗・・・」
私がぼそっと発した英斗の名前に弦が鋭く反応した。
「どうした?」
私は首を横に振って冷蔵庫から箱を取りだした。
中には私の好きなイチゴのミルフィーユとチーズケーキが入ってた。
それを見た途端。
胸が痛くなった。
あんな別れ方をしたけど、それでも彼の事は大好きだった。
「千鶴?」
弦が後ろから抱きしめてきた。
「このケーキ凄く大好きだけど・・・食べない」
「え?」
「これはもう過去だから・・・」
私は弦の手の上に自分の手を重ねた。
「だから明日ケーキ買って?!」
「は?俺が?」
「いいじゃん買ってよ。」
口を膨らますと・・
「・・・・いいよ。フフ」

私には弦の何か企んでいる様なフフって笑い声は聞こえてなかった。
< 99 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop