クールなヒーローに甘いお菓子を。
*バカみたいにお前のことが
***
「…ごめん」
どこに行くかも決めないでとにかく歩いた私は、気付いたら図書室の前に来ていた。
ずっと掴んでいた朔の手をパッと離して俯く。
朔は、何か言いたそうにしているのに何も言わない。
変な沈黙が起こってどうしようかと必死に頭を回転させた。
ーーーーーーキーンコーン…
「…あ」
その時、ちょうど良くと言うべきなのか、タイミングよく鳴った1時限目開始のチャイムの音。
そうだ。
色々ありすぎて忘れてたけど、まだ今日は学校に来たばっかりなんだよね。
「…朔、戻っていいよ。ごめんね、勝手に引っ張ってきちゃって」
そう言ってるのに、朔は戻る気がないらしく「ちあはどうするの?」なんて聞いてきた。
「私は1時限目サボるよ。流石にそんな気分じゃないからね」
「ふーん。じゃあ俺もいるよ」
「えっ?」
何を言い出すのかと思えば、朔はさらっとそう宣言する。
「行くぞ」なんて言われて、次は私が朔に手を引かれながら図書室の中へ連れられた。