クールなヒーローに甘いお菓子を。
「俺、ちあの傷付いてる顔を見るのは嫌だよ」
「…え?」
唐突な朔の言葉が聞こえた。
「けど、」
真剣な朔の顔が切なげに歪んだのが分かる。
「けど、ちあが他の男の事でヤキモキしてるのを見てるのは……、もっと嫌だ」
「ッ!」
ただでさえ静かな教室の中で、私達の中にも沈黙という名の静寂が訪れた。
……なに、それ。
思わず顔を俯かせる。
多分今の私の顔は、さっきまでの冷めた表情とは裏腹に赤くなっていることだろう。
だって、だってさ。
そんな言い方、ズルいじゃん。
朔、分かってる?
ヤキモチ妬いてるように聞こえるんだよ?それ。
自惚れちゃうのも仕方ないってなっちゃうよ。