クールなヒーローに甘いお菓子を。
自分でも分かるくらい赤くなった顔を思わず伏せる。
照れてる状況じゃないことくらいは分かっているのに、朔の顔を見ることができない。
「何よ、それ」
絞り出してやっと出た言葉は、それ。
情けないなとは思うけど、これが今の私の精一杯だった。
「ここまで言ってよく気付かないね、ちあ」
分かるでしょ?と、朔は続けて言う。
分からないから困っているのに、本当にこの人の考えることは分からなさすぎだ。
「ちあ、今から大事な話する。だから、俺を見て」
「…っ、」
真剣なトーンで朔の声が降ってくる。
そこまで言われてしまったら逆らうことも出来ず、私は仕方なく顔を上げた。