クールなヒーローに甘いお菓子を。
***
「……舜」
昼休みになって、俺はすぐさま屋上へ向かった。
が、扉を開けばそこには一足先に来ていたらしい千秋の姿。
「千秋」
「…ッ、」
一歩近づけば、彼女はビクッと肩を震わせ後退りしてしまう。
俺と会うことに酷く緊張している様子の彼女。
それでも話を聞くと決心してくれたのは、きっとあの男の影響なんだろうなと予想はついた。
見ていれば分かる。
約1年…正確には11ヶ月、俺はずっと彼女と過ごして来たんだから。
千秋が見ている人は、もう俺じゃなくて別の人。
────本郷朔。
俺が彼女を傷つけてから、ずっと彼女を守るようにそばにいたあの男だ。