クールなヒーローに甘いお菓子を。



***




「……舜」



昼休みになって、俺はすぐさま屋上へ向かった。


が、扉を開けばそこには一足先に来ていたらしい千秋の姿。





「千秋」

「…ッ、」


一歩近づけば、彼女はビクッと肩を震わせ後退りしてしまう。




俺と会うことに酷く緊張している様子の彼女。


それでも話を聞くと決心してくれたのは、きっとあの男の影響なんだろうなと予想はついた。




見ていれば分かる。


約1年…正確には11ヶ月、俺はずっと彼女と過ごして来たんだから。




千秋が見ている人は、もう俺じゃなくて別の人。




────本郷朔。



俺が彼女を傷つけてから、ずっと彼女を守るようにそばにいたあの男だ。





< 208 / 265 >

この作品をシェア

pagetop