クールなヒーローに甘いお菓子を。
「千秋、来てくれてありがとう」
「……」
「俺の話、聞いてくれるんだろ?」
口を開かない彼女も、流石にその問いには「うん」と頷いてくれる。
完全に俺を信用しなくなった彼女に、俺はちゃんと説明出来るだろうか。
その不安を抱えながらも、俺は話すことに決めた。
「少し長くなるけど、我慢してな」
「…うん」
覚悟を決めて、全てを話そう。
…全ての始まりは、千秋と別れたあの日から2ヶ月ほど前に遡る──────…
「あ、あの…っ!好きなんです…!」
…その日、俺は名前も分からない手紙の主に放課後の空き教室に呼び出されていた。
目の前で顔を赤くしてそう告げてくる彼女の名前はなんとなく知っている。
西山梨花。
男達の間で、学年1可愛いと噂されていた女だった。