クールなヒーローに甘いお菓子を。
が。
「頼む、西山。千秋を傷付けたくないんだ。分かってくれ」
真剣に西山に頼むしか方法が思いつかず、その言葉ばかりを繰り返してしまう他ない。
分かってもらいたい一心だったのに、西山は衝撃的な発言で俺の願いを覆すことになる。
「だったら、」
楽しそうに、西山は口を開いた。
「あたしと付き合った方が、千秋ちゃんを傷付けないよ?」
「……は?」
意味がわからず自分でも険しい顔になったのがわかる。
何をバカなことを言ってるんだとさえ思った。
けど、不気味なくらい楽しそうに笑う西山を見てると冗談とは思えない。
本当、何を考えてるんだ?こいつ。
「どう言う意味だ」
聞き返せば、西山はスカートのポケットから一枚の写真を取り出した。
「これ、何か分かる?」
西山が渡してきたその写真を見て、一瞬目を疑った。
「な…っ!これ、どうしてお前が…!?」
そこに写っていたのは、ずぶ濡れの制服姿の中学生の女の子。
……千秋の姿だった。