クールなヒーローに甘いお菓子を。
廊下で見かける度、何度手を伸ばそうとしたことか。
そして、何度伸ばしかけた手を引いたことか。
ごめんな。
散々酷いこと言って。突き放して。
それでも、こんな俺なりにお前を守りたかったんだよ。
「舜…っ」
千秋が俺の名前を呼んでくれるだけで、今は幸せだ。
「ごめ、ごめんね…っ。舜がそんな事してくれてたなんて知らなかった…」
「ハハッ。なんで千秋が謝んの?謝るのは俺でしょ」
「や、だって私のせいだし…!」
もう涙は我慢できなかったのか溢れ始めている。
よく俺の前だけでは泣いてくれたな、なんて愛おしく思った俺は重症だろうか。
…それでも、もうお前には別に想っている人がいるんだよな。
そして恐らくそいつも、千秋を想ってる。