クールなヒーローに甘いお菓子を。



廊下で見かける度、何度手を伸ばそうとしたことか。


そして、何度伸ばしかけた手を引いたことか。




ごめんな。


散々酷いこと言って。突き放して。



それでも、こんな俺なりにお前を守りたかったんだよ。





「舜…っ」



千秋が俺の名前を呼んでくれるだけで、今は幸せだ。




「ごめ、ごめんね…っ。舜がそんな事してくれてたなんて知らなかった…」

「ハハッ。なんで千秋が謝んの?謝るのは俺でしょ」

「や、だって私のせいだし…!」



もう涙は我慢できなかったのか溢れ始めている。



よく俺の前だけでは泣いてくれたな、なんて愛おしく思った俺は重症だろうか。





…それでも、もうお前には別に想っている人がいるんだよな。


そして恐らくそいつも、千秋を想ってる。





< 216 / 265 >

この作品をシェア

pagetop