クールなヒーローに甘いお菓子を。
舜とのモヤモヤが晴れた今、私は、私の背中を押してくれた人へ伝えなきゃいけないことがあるんだ。
「うん、そっか。頑張れ、千秋!」
「うん、ありがとう」
今までたくさん助けてもらってきた。
支えてもらってきた。
だから、それまでの感謝と、私の想いを。
「────朔」
この人に、伝えたい。
家に帰って、私は真っ先に包丁の音がするキッチンへ向かった。
「おかえり、ちあ」
そこには、いつものように晩御飯を作ってくれている学校の王子様。
「俺もさっき帰ってきたとこだからまだ出来るのに時間かかる。先風呂でも入りな?」
気を遣ってくれているのか、素振りはいつもと変わらない。
けど、今はそんな"いつも通り"なんて必要ないんだ。