クールなヒーローに甘いお菓子を。
「ったく、自分勝手なんだから」
「まぁまぁ」
呆れ顔の朔に苦笑する。
自分勝手といえば、うちのお母さんも負けてないし。
「………」
「ちあ?どうかした?」
「…へっ?あ、何でもない!」
ふと、お母さんのことを考えた。
身勝手なあの人は、今どうしているんだろう。
子供から解放されて、楽しくやってるんだろうか。
そんなことを考えていたからかもしれない。
────ガチャッ
「たっだいまー!」
玄関のドアが開くと同時に、仁美さんの陽気な声が聞こえた。
一気に機嫌が悪くなる朔を宥めながら、玄関まで2人で迎えに行く。
「……ッ」
そこで、私の足が止まった。