クールなヒーローに甘いお菓子を。
なんで、なんで。
玄関で硬直したまま、頭の中ではその疑問ばかりが巡って行く。
だって、最後に会ったのなんて高校に上がる前のことだ。
それに、今私が本郷家にお邪魔してるのは、あなたが私の面倒を見たくなくなったからでしょ?
なのに、どうして今更…。
────ギュッ
「ちあ」
その時、私の右手に暖かい温もりが触れた。
優しい声と一緒に。
「さ、く」
顔をあげれば、優しく私を見つめている朔の姿。
「大丈夫。俺もいるから」
朔にはお母さんのことを何も話していないのに、そう言って手を繋いでいてくれる。
私、不安そうな顔しちゃってたかな。
どっちにしても、こういう時に支えてくれる朔はやっぱり私のヒーローだね。