クールなヒーローに甘いお菓子を。



まずい。



その表情を見て思ったのはまずそれ。




反射的に朔の手を離してしまった。



そのことに驚いたのか朔がこちらを見るけど、私は俯いて小さく1つお母さんに頷きを返すだけ。




ごめん、朔。



今私は、あなたといる幸せよりも目の前の人の不安と恐怖が大きい。





「居候の身で恋人になれるなんて恵まれてるわね?千秋ちゃん」

「…っ、」



お母さんと目が合わせられない。


仁美さんがいるから抑えてるんだろうけど、きっと心の中ではこんな嫌味では済まされないくらいの思いが溜まっているんだろう。




…だったら、お母さんもお父さんと仲直りするかさっさと離婚すればいいのに。



曖昧な関係で私と夏輝を振り回さないでよ。





…なんて、思ったところで絶対に口にはできないんだけど。




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