クールなヒーローに甘いお菓子を。
「…………てよ」
「え?何?」
「…いい加減にしてって言ってるの」
もう疲れた。
お母さんに振り回されるのも、自分を抑えることも。
「いつもいつも勝手に決めて、私のこと放ったらかしにして。そのくせ都合に合わせてすぐ近付く」
どうせ今回も、私が朔と幸せそうに暮らしてるのが気に入らないんでしょ?
「もう放っておいてよ。私はここに残る。何がなんでも、朔とは絶対に離れない」
折角出会えた大事な人なんだ。
転校するなんて絶対に嫌。
────ポン、と。
その時、頭に朔の手が乗ったのが分かった。
優しくて暖かいそれに、何故だかとても泣きたくなる。