クールなヒーローに甘いお菓子を。
「亜希子さん」
朔が、お母さんの名前を呼んだ。
「俺も彼女と同じです。離れたくない。卒業するまで、ここでちあと2人、一緒に暮らさせてくれませんか」
卒業後のことはまた自分達で考えますから、と。
そう言って、朔はお母さんに頭を下げたんだ。
呆気に取られるお母さんとそれを見ていた仁美さん。
慌てて私も一緒に頭を下げると、朔の手が私の手を包んだ。
「頭を上げて、2人とも」
仁美さんの優しい声が聞こえる。
「私はいいと思うな。好きな人と一緒に過ごす高校生活なんて素敵じゃない?ね、亜希子さん」
顔をあげれば、仁美さんはお母さんに微笑んでそう言っていた。