クールなヒーローに甘いお菓子を。
あの言葉に、嘘はない。
ちあが望んでくれるなら、俺はちあの家族になりたいと本気で思っている。
「どうした?」
「…ん」
俺の背中に顔を埋めるちあ。
珍しい。彼女がこんなことしてくるなんて。
動かしていた手を止め、ゆっくりとちあに向き直る。
「ソファにでも座ろうか」
そう言って彼女の手を取り、俺たちはリビングのソファに腰掛けた。
座ってから、しばらくの沈黙。
「…私ね、」
「ん?」
しかしそれは、ちあが破ることになった。
「朔に何も話したことなかったなと思って」
「うん?」
「家族のこと」
繋いだ手に、僅かながら力が入ったのが分かった。