クールなヒーローに甘いお菓子を。



…いや、口では淡々とした口調ではあるけど、繋いだ手は少しずつ震えている。




「それでね、」

「ちあ」

「その間もお母さんが…」

「おい、ちあ!!」




それでも話を続ける彼女に、俺の方が辛くなってしまって、思わず大声を出して話を止めた。



少しずつ早口になっていったちあ。


今止めないと、どんどんちあの言葉も気持ちも加速していきそうで。




「大丈夫。俺ちゃんと聞いてるから。ゆっくりでいいんだよ」

「…っ」



涙が、溢れそうだった。


俺じゃなくて、ちあが。




なぁ、ちあ。


そんな辛い事、よく1人で頑張って来たな。




「いいんだよ、気緩めて。俺の前ではもう強がんな」



ちあの悪い癖だ。


1人で溜め込んで、心配かけないように平気なフリをする。



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