クールなヒーローに甘いお菓子を。




「……でも、よかったじゃん」

「え、何が?」



予想外の言葉に顔をあげれば、小さく微笑んで私を優しく見つめる真希。




「自分以外に家に誰かが帰ってくるって、千秋にとっては嬉しいことなんじゃない?」



真希の言葉に、「あぁ、そうか」と今更ながらに思った。





真希は私の家のことを知ってるから、もちろん私のこともよく知っている。





私が、中学生になってから誰かと一緒に暮らしたことがないってことを。


そして、心の何処かで当たり前に家族と過ごす生活に憧れていることを。




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