クールなヒーローに甘いお菓子を。
「千秋」
横を通り過ぎようとしたところで、もう一度はっきりと聞こえた、私を呼ぶ声。
思わず立ち止まってしまった。
「なんか用?……舜」
平静を装って、その人───舜に目を向ける。
あの別れた日から一度も会っていなかった私達。
そのせいか、なんだか凄く懐かしく感じる。
『言っとくけど、お前が浮気相手だから。本命はコッチ』
でも、そんな思いもあの言葉を思い出せば全て吹き飛んだ。