キミじゃなきゃダメなんだ
「.........」
先輩は、何かを考えるように、うろたえる私の顔を見てたけど。
やがて何かを決意したのか、「そう」と短く呟いて、また化学の教科書を手に取った。
え....なんだったの?
わけがわからなくて不安になる。
「わ、私の言葉が、何か先輩のお気に触れたのでしょうか」
「いや全然。気にしなくていいよ」
「ええっ...?じゃあ今のはなんだったんですか」
「気にしなくていいから、とにかく君は数学して」
ハイ。
先輩に何度『数学して』と言わせれば気が済むのだろう、私は。
よくわかんないけど、頭のいい先輩の思考回路なんて、アホの私にはたぶん理解できないんだろう。
アホはアホなりに、暗号文と戦うことにした。