キミじゃなきゃダメなんだ

やがて、お説教が終わる。

反論せずに頷いていた私を見て、チョコちゃんは諦めたように小さく笑った。


「...こんだけ言っても、あんたの意志は変わんないんでしょーけど」


....うん。

これだけ怒られても、やっぱり私には、今すぐ先輩と付き合う、という選択肢は浮かばないんだ。


もうそれは、先輩もわかってるから。

むしろ、『今すぐ付き合ってください』なんて言ったって、『どうしたの？』と怪しまれるだけだと思う。



「先輩のこと、すっごくいいひとだなって思う。あんなに一生懸命気持ちを伝えてくれたし、付き合ったらきっと大事にしてくれるんだろうな、って思う」



静かに話し始めた私を、チョコちゃんも里菜も黙って聞いてくれている。


本当は恋愛になんか慣れてなくって、女の子と接することすら普段ない先輩が。

あんなに真っ赤になって、気持ちを伝えてくれた。


私は『また傷つけるかも』と思って逃げてばかりだったけど。

私も、先輩と真剣に向き合いたいなって思ったから。