キミじゃなきゃダメなんだ
汐見先輩のモテッぷりを改めて実感して、私はまたため息をついた。
私と先輩は....ほんと、釣り合ってないんだなぁ。
*
「二年の女子に呼び出されてるって、本当?」
その言葉に私が思わず固まったのは、その日の放課後だった。
私は今、昨日と同じように、汐見先輩に自習室で勉強を教えてもらっている。
その会話の途中で、さらりと尋ねられてしまった。
先輩、クールな顔してシャーペン動かしてるし。
うええ、なんで知ってるの?
驚いて、反応が遅れてしまう。
急いで表情をいつも通りにして、私はノートから顔をあげた。
「ええー?呼び出しですか?そんなの受けてませんよー。べつに悪いことしてませんもん、私」
先輩ひどいなー、といつも通り笑う。
だって、知られたくない。
こんな情けない話、先輩に知られたくないもん。