キミじゃなきゃダメなんだ


汐見先輩のモテッぷりを改めて実感して、私はまたため息をついた。


私と先輩は....ほんと、釣り合ってないんだなぁ。







「二年の女子に呼び出されてるって、本当?」


その言葉に私が思わず固まったのは、その日の放課後だった。


私は今、昨日と同じように、汐見先輩に自習室で勉強を教えてもらっている。

その会話の途中で、さらりと尋ねられてしまった。


先輩、クールな顔してシャーペン動かしてるし。


うええ、なんで知ってるの?

驚いて、反応が遅れてしまう。

急いで表情をいつも通りにして、私はノートから顔をあげた。


「ええー?呼び出しですか?そんなの受けてませんよー。べつに悪いことしてませんもん、私」


先輩ひどいなー、といつも通り笑う。


だって、知られたくない。

こんな情けない話、先輩に知られたくないもん。

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