キミじゃなきゃダメなんだ


「.........」

何も言えなくなって、黙りこむ。

すると、汐見先輩はまっすぐに私を見据えた。



「百合」



....どきん。

思わず、肩が小さく跳ねる。


...あの日、以来だ。

『百合』って呼ばれるの。

先輩と仲直りした、あの日以来。


恋愛慣れしてない私の心臓は、やっぱり高速で脈打ち始めた。


あのとき、先輩に『百合って呼んでもいい?』って言われたけど。


...これは、やばい。特に今みたいな不意打ちは。

先輩とは、『友達』なのに。


目が合わせられなくなって、思わずサッとうつむいた。

シャーペンを握る手がふるえる。


....うええええ、やっぱりその呼び方はドキドキするから、なるべく控えてもらえませんかー!




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