キミじゃなきゃダメなんだ


「.....百合」

「....ハイ...」

「顔が赤い」

「!!」


直球で指摘されて、ますます恥ずかしくなってくる。

ああ....ダメだこりゃ。黙りこんで誤魔化すのも、限界っぽい。


おそるおそる、顔を上げる。


そして見えたのは、小さくニヤリと笑って私を見つめる、先輩の顔だった。


....こ、心なしか機嫌がいいように見えるのは、私の気のせい、ですか?


「....せん、ぱい」

「イイね。たまに呼ぶと、そういう顔してくれるんだ?」

「.....!」


ニヤニヤと、先輩は嬉しそうに笑う。

機嫌がいいように見えたのは、気のせいじゃなかったらしい。


普段、私に対しては穏やかな表情をすることの多い先輩が、なんかちょっと意地の悪い顔をしているものだから。

綺麗な顔であることに変わりはないけど、なんかこう、男の子っぽくなる。



先輩から、私のことが好きだって気持ちが、普段よりずっと強く伝わってくる、目をしてる。






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