キミじゃなきゃダメなんだ


今の先輩の照れた顔を見てると、このひとは本当に、想うことに慣れてないんだなと実感する。

さっき名前を呼ばれてからかわれたときは、なんだかすごく余裕がある感じに思えたけど....


あれは、『頑張って』くれてたんだな。


私が、先輩をすきになるように。



「..........」



会話が終わっても、シャーペンを握る手が動かない。

先輩のがうつって、結局私まで顔が赤くなっていた。

やがて、状況を見かねた先輩が、小さくため息をついた。



「....ごめん。帰ろうか、今日は」

「は、はい」


いつのまにか暗くなっていた窓の外を見て、時間が経つのは早いなと感じた。


...うん、早い。

先輩といると、いつもそうだ。時間があっという間に経ってしまう。



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