キミじゃなきゃダメなんだ


クールな汐見先輩でも、そういうふうにからかわれること、あるんだな。


体育祭に対してやる気のない汐見先輩が、よりによって大注目のリレーを走るっていうのは、確かにちょっと見てみたいかも。

不本意にも選抜されちゃった先輩は、気の毒だけども。


それはそうと、ちょっと本気で走ってリレー選手になれるってことは、汐見先輩ってもしかして。


「....あの」

「何?」

「先輩って、運動は得意なんですか?」


ていうか運動までも得意なのですか?

私がおそるおそる尋ねると、先輩はちょっと考えるような顔をして、「どーだろ」と言った。


「可もなく不可もなく、ってとこじゃない。ただ、今回のクラスの男子の五十メートルは、僕がいちばんタイム良かったらしいけど」

「!!」


なんですと。

先輩、めちゃくちゃ足速いじゃんよ。

それで体育祭『苦手』とか言うなんて、もったいない。




< 146 / 549 >

この作品をシェア

pagetop