キミじゃなきゃダメなんだ
そして先生は腕時計を確認すると、私を見た。
「そろそろ、合同練習が終わった頃だと思うの。悪いんだけど職員の集まりがあるから、先生行かなきゃいけないんだけど....」
「あ、わかりました。乾燥機にかけてるやつが乾いたら、私も教室に戻ります。借りた体操服は洗って返しますね」
「そうね。ありがとう、よろしくね」
「はい、こちらこそありがとうございました」
お礼を言うと、先生は足早に出ていった。
保健室の隅で動いている乾燥機を横目に見て、あと五分くらいかなぁ、とぼんやり考える。
ひとりになった空間で、椅子の背もたれに体重を預けると、小さく息をついた。
....頑張ろう。
これから、何があっても。
そう思いながら天井を眺めていると、突然保健室の扉がガラガラと勢いよく開けられた。
そこにいたのは、汐見先輩で。
なぜか彼の表情は、ものすごく怒っている。
....えっ、なんで。
戸惑う私の目の前まで、先輩はずんずんと歩いてくる。
そして、悔しそうに顔を歪めて、先輩は言った。