キミじゃなきゃダメなんだ
「.......さっき僕に、嘘ついたよね?」
.....え。
驚いて目を見開くと、先輩はさらに声を荒らげた。
「君は平気だって言ってたけどさ。僕が水道に来る前、君泣いてたよね?あのときは気づかないふりしたけど、なんで嘘つくわけ?」
「う、え、あ、あの....先輩、なんで」
知ってるの?
なんで嘘ついたって、バレてるの?
しかもなんか、あのときちょっと泣いてたこともバレてるし!?
そう言葉に出さずに伝えると、先輩は唇を噛んで、「ついさっき」と言った。
「二年の女子達が....君に水かけたこと、笑いながら話してたのが、聞こえた」
うわ。
まじっすか....先輩方、どこまでいっても私の邪魔をしてきますね。
思わず『うわあ』という顔をしてしまって、ますます先輩の表情が不機嫌に染まった。