キミじゃなきゃダメなんだ


だから今回のことも、先輩に『助けて』なんて言いたくない。

だって言ったって仕方ないし。


今回のことは、たぶん誰も悪くないんだと思う。


嫉妬するのは仕方ないし。

それを先輩から直接注意なんてしても、彼女達が傷つくだけで、嫉妬心は無くならない。


仕返しなんてしたら、尚更だ。

私はこれ以上、恨みは買いたくないですし。


彼の心の中がわかって、私の中のもやもやも消えていった。


うん、私は大丈夫だ。

だから先輩も、安心してください。



「大丈夫ですよ、先輩。先輩が私のことを嫌いにならない限り、私は無敵です。なにが起きてもへっちゃらです」



へら、と笑うと、汐見先輩は気が抜けたように小さく笑った。

その顔は、張りつめていたものがようやく解けたような、そんな柔らかい表情で。


そのまま、私の方へ手を伸ばす。


私を椅子に座らせたまま、彼は私を抱き締めた。


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