キミじゃなきゃダメなんだ
慣れてしまったってことだ。
彼が私を見ていることに。
...そのことがなんだか恥ずかしくて、でもやっぱり嬉しかった。
木の幹に背をもたれて私を見ていたっぽい先輩は、私を見てふいっと目をそらした。
...んん?
なんだなんだ。私、なんかやっちゃったのか?
「......」
「...えっと。ど、どうしたんですか。私を待っててくれたんですよね?何かご用ですか?」
たぶん、児玉くんと私が、体育倉庫に鉄の棒をしまうのを待っててくれた....んだよな?
先輩がなかなか喋らないから、不安になってきた。
えーと...なんかやったっけ、私。
特に思い当たる節がない。
というか、今日先輩と話すのは、午前中のあのときを含めてこれで二回目なんだけど。
うーんと悩んでいると、汐見先輩がとても低い声で「...さっき」と言った。