キミじゃなきゃダメなんだ
「あっ、おかえり~マル!...あ。やだぁ、汐見先輩も一緒じゃないですかぁ」
私達に気づいた里菜が、ニヤニヤし始める。
何故かそこには、松原先輩以外の二年生男子が二人いた。
どうやら五人で話してたらしい。
「里菜ちゃん。そのことはここでは内緒」
松原先輩が口許に人差し指を立てて、里菜の耳元で囁く。
「あっ、そうですよね...内緒、でした」
里菜も可愛らしく人差し指を立てて、顔を見合わせる。
なんなんだお前ら。
他の二年生がいるから私と先輩...主に先輩の気持ちを内緒にしてくれるのはありがたいけど。
てゆーか、前からちょっと思ってたけど、松原先輩はいつから知ってたんだ。汐見先輩が言ったんだろうけどさ。
里菜と松原先輩はいつ付き合うの?まだ付き合ってないの?
リレーという現実から逃げたくて、関係のないことに思考を走らせる。
それは汐見先輩も同じみたいで、「もうこのまま百合を持って家に帰りたい」とか恐ろしいことを呟いていた。私は物じゃない。