キミじゃなきゃダメなんだ
「うう.....ああもう、やばい....」
なんでだか、じわじわと瞳に涙が溜まる。
だけど視界には、クラスメイトに囲まれて笑う先輩の姿が映っていて。
彼の甘くて狂おしい言葉が、頭をよぎる。
『早く、僕だけ見てくれるようになればいいのに』
....見てるよ。
キラキラしてるんだよ、先輩。
私の目には、もう。
先輩しか、映ってないよ。
*
その後、体育祭は無事閉幕した。
白団は優勝し、私のクラスも先輩のクラスもリレーで一位をとったし。
本当に楽しい体育祭だったなぁ。
汐見先輩に至っては、あのリレーのあとピースサインと極上スマイルを向けた相手は一体誰だったのか、同じクラスの男子に問い詰められたらしいけど。
松原先輩いわく、『友達』で通していたらしい。
そのときのヒサの顔がまた不憫すぎて笑いをこらえるのが大変だったと彼は言っていた。ひどいなこの人。